2015夏期KIP Seminar
KIP夏季セミナー開催。今回のセミナーは、元朝日新聞論説主幹で、その後日韓の大学の客員教授などもされている日本国際交流センターシニアフェローの若宮啓文様にお越しいただき、「戦後70年、日中韓を考える」というテーマのもと、三回にわたり講演をしていただきました。
その初回となる今回のご講演では、韓国併合、日韓基本条約締結、植民地問題、慰安婦、竹島など様々な観点から戦前、戦後の日韓関係についてお話していただきました。第二次世界大戦の生み出した負の遺産、それがもたらした両国の対立、国交回復から現在に至るまでの道のりなど、記者や研究者として日韓関係の実情に精通する若宮様ならではの興味深いお話ばかりでした。特に慰安婦問題に関しては、アジア女性基金の設立で問題解決を求める日本と、日本政府の公的責任を問う韓国、どちらの言い分も一理あると感じ、歴史認識をめぐる問題の解決がいかに困難なことであるのかを実感しました。
メディアの影響を受け、慰安婦問題の責任は韓国にあると感じている日本人が現在多く存在するなかで、どれだけの人が十分な情報を得ているのでしょうか。今回の講演では、自分がいままで知らなかった情報も多く、両国の間に横たわる様々な問題を再考するにあったって十分すぎるほどの契機となりました。歴史問題を考える際は、偏った視点のみの情報や主張のみに目を通すのではなく、様々な角度から考察することや様々な人の意見を聞くことがより重要だと気付くことができ、貴重な経験となりました。(村上 智紀)