2020年KIP地域研修報告【高知研修】
須崎市では野見漁港で養殖場の見学と、養殖業をされている方にCOVID-19による水産業への影響や地域の漁業が抱える問題、そして水産業と南海トラフ地震との関わりについてインタビューを行いました。高知市では海抜ゼロメートル地帯と言われる下知地区の地域住民同士の防災について、地元の自主防災組織の方の解説のもと、町歩きを通して学びました。また現地のジャーナリストへのインタビューを通してジャーナリストとしての「伝える役割」と「話す責任」について伺ったことや、高知県の大学生と津波を含む水害と防災ついて討論したことはプロジェクトの研究にとって大きな学びとなりました。また、高知市にある、高知城と高知歴史博物館の訪問を通して、数多の災害を経験してきた高知の歴史や地形を学びました。すぐ近くに海抜ゼロメートル地帯のある一方で、高知城は高台の安全な場所に建てられた建物ということもあり、両者の地形の違いも身を以て感じました。加えて、飛行機の手配上、愛媛県の一部も訪問する機会を得られ、内子町では、歴史を感じさせる町歩きによりかつて栄えた地域の木蠟産業の痕跡とそれを支えた昔ながらのコミュニティーを見ることで、防災に限らず、コミュニティーの強さは地域を支える根源になることに気づきました。高知県と愛媛県の間にある四国カルストでは、石灰岩により生まれた牧歌的なきれいな景色が広がっている一方で、高知県の沿岸部の人を悩ませている南海トラフの活動でできたという2つの側面があることを考えさせられました。松山城では、高知城と同様に、その天守閣の標高の高さや天守閣からの景色、しっかりとした石垣から、城=高台=安全な場所という観念とともに、その建築法によって昔から災害(水害や揺れ=地震)から身を守ることがなされていたことを感じ取ることができました。
【研修スケジュール】
11月21日(土)坂本龍馬記念館訪問、須崎市野見漁港訪問
11月22日(日)高知城見学、下知地区町歩き、ジャーナリストへのインタビュー、地元大学生との討論会
11月23日(月)四国カルスト、愛媛県内子町、松山城見学
【須崎市 野見漁港】
野見漁港で盛んに行われているタイとカンパチの養殖の生け簀を見学させていただきました。実際に漁師の方の船に乗せていただき、沖合にある生け簀を見ることができました。
【下知地区町歩き】
かつて海だった部分が埋め立てられ、海抜ゼロメートル地帯に多くの住民が暮らす高知県下知地区を、地元の自主防災組織の方に案内して頂きました。
【下知地区コミュニティセンター】
災害時の指定避難ビルにもなっている下知地区コミュニティセンターにて、防災に関するお話を伺ったほか、現地のジャーナリストへのインタビューや、現地の大学生4名も含めた水害、地方創生に関する討論会を行いました。
【四国カルスト】
高知県と愛媛県の県境に位置する、石灰岩が侵食されてできたカルスト地形。
【愛媛県内子町 内子座】
現在でも歌舞伎が行われることのある内子座を見学しました。奈落や回し舞台など、建設当時に用いられていた技術が今も残っていました。
【松山城】
松山城は本丸までロープウェーで登るほど山の高い位置に建てられており、石垣に支えられた立派な建築が特徴的でした。