2017年アジア研修

8月27日より13日間のアジア研修を行いました。シンガポールと香港を訪れ、三国共通の課題である「少子高齢化問題」をテーマに掲げ、4大学でのディスカッションや企業訪問をおこないました。三国の問題への対応のちがいや、若者がこの問題についてとるべき行動などを考える貴重な機会になりました。

<討論会>

シンガポールではシンガポール国立大学、香港では香港大学、香港中文大学、香港理工大学を訪れました。研修テーマに基づき、「少子高齢化問題についてすべての大学生が学ぶべきか」という題目で議論を行いました。日本と比べて、政府より個人の責任を重視した制度設計がおこなわれているシンガポール・香港では、計画的貯蓄や健康管理などによって自分で備えをしていく必要があるとの意見が多く聞かれました。また現地の学生は中学や高校で少子高齢化を含む社会問題について時間をかけて学んでおり、自分の国にとって何が問題なのかをよく理解していました。シンガポール国立大学や香港理工大学では高齢化の研究をするセンターが存在することを聞き、二国が国をあげてこの問題に取り組んでいる様子もわかりました。住宅問題や格差問題に比べれば優先度が低いという声もありましたが、学生たちが少子高齢化問題について「自分ごと」に考える姿勢からは刺激をもらいました。

<企業訪問>

空港、石油、保険、金融、ITベンチャーなど、シンガポール・香港合わせて12社の企業の方からお話を聞き、意見交換の機会をいただきました。企業の活動内容に加え、少子高齢化によってどのような影響を受けているか、高齢者の採用についてどのように考えているか、等研究にとっても有意義な見解を聞くことができました。どちらの国でも、日系と現地の両方の会社を訪れることができたため、日本とシンガポール・香港との働き方のちがいも興味深く感じられました。定年制など日本と共通する制度に加えて積立型の貯蓄制度が機能していること、家庭内でのヘルパー制度が女性社員の社会進出を助けていることなど、多くの新しい知見を得ることができました。

<大学教授からの講義>

シンガポールでは、シンガポール国立大学の建築学部教授に市内をガイドツアーしていいただきながら、建造物の歴史についてお聞きしました。高齢化について専門的に研究している教授からは、シンガポール国立大学でおこなわれている建築学を用いたコミュニティづくりの研究について教えていただきました。香港では香港における日本文化について研究されている教授から講義をいただきました。日本への観光客の増加と相乗して、日本食レストランや日本由来の家電・サブカルチャーの浸透が進んでいるというお話はとても新鮮でした。

この研修を通して、面積や資源に限りがあり、高齢化も進んでいる分「人」に投資して成長をはかる二国の勢いを感じました。また、明確な目標をもって計画的に勉学に励む学生の姿はとても印象的でした。同時に、観光の時間に博物館、美術館や寺院を訪れた際には、同じ文化圏に所属する国として日本との共通性を感じました。シンガポール、香港社会について深く考え、11人のメンバーでリーダーシップやチームワークについて学びながらやりとげることのできたとても有意義な研修でした。この研修の成果が来年春のアメリカ研修にもつながっていくことを期待しています。

(森原 彩子)

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