2021.5.8 5月フォーラム 「海外留学と海外勤務—アメリカ、フランス、イギリス、中国での経験から(日本外交及び経済外交)」

5月オンラインフォーラム開催。今回は、外務省経済局長でありかつKIP理事の四方敬之氏を講師にお招きした。四方氏にはご自身の海外留学や海外勤務の経験をもとに、日本人が海外留学をする意義についてのお話をしていただいた。「日本経済を持続的に繁栄させるために,日本からの海外留学,海外勤務は不可欠か?」というテーマで討論を行い、日本が長期的な視点で国際競争力のある人材を育成するために何が必要かについて意見を交換した。

四方 敬之氏

経歴

1986年京大法卒、 ハーバード大学ケネディー行政大学院修士(MPP)。 1989年在米国日本大使館プレス担当官を皮切りに、1999年にOECD日本政府代表部一等書記官、2012年に在英国日本大使館政務担当公使、2018年からは駐中国特命全権公使、2019年には米国公使として再度米国へ赴任。国内では国際報道官、北米局北米第二課長、国際法局経済条約課長、内閣副広報官、大臣官房人事人事課長、アジア大洋州局参事官等を経て、2020年7月より現職。

内容紹介

【スピーチ内容】
四方氏は、自身が外交官として勤務してきた経験をもとに日本人が留学に臨む意義を説明された。高校時代に米国に留学された経験や大学時代に国内の留学生を支援する活動をされた経験を通して、四方氏は国際的な交流の重要性を学んだという。これを通して、四方氏が外交官になることを決意することになったということだ。外務省に入省し東アジアでの勤務を経験したのちに、四方氏はハーバード大学ケネディ行政大学院に留学し米国史を学んだ。日米貿易摩擦に関わる業務について経験されたことを話す際に、四方氏は日本異質論について言及された。日本国内以外に英国、米国、中近東などで勤務された経験について触れることで、四方氏は各所での学びがどのようにキャリア形成につながったのか丁寧に伝えてくださった。講演の締めには、海外留学や海外勤務のメリットやデメリットについて触れた。オンラインでの授業や商談が主流となる現代に海外に足を運ぶ意義とは何か、という問いをフォーラム参加者に投げかけていた。

【質疑応答】


留学をする意義についてさらに掘り下げて考えを述べていただいた。若いうちに多様な価値観に触れることや、国際的な環境で議論をするトレーニングとして有効であるという。加えて、日本異質論の詳細や自由貿易のあり方の変遷など、国際経済に関する専門的な議論もされた。

【グループ討論と全体討論】
四方氏の講演を踏まえて、「日本経済を持続的に繁栄させるために,日本からの海外留学,海外勤務は不可欠か?」というテーマで討論を行った。多くのグループでは、人材育成の観点から日本人が留学することが重要であるという結論に至った。一方で、留学とは学習のツールの一つにすぎず、日本の経済的な発展のための絶対的な答えとは限らないという意見もあった。全体での議論では、留学に行くにあたり目的の明確化が非常に重要であるという意見が出た。現地に赴く前に周到に準備を行うことで、現地滞在時間の長短にかかわらず非常に有意義な時間を過ごすことができるだろう。日本国内でもできる学問・業務は多くあるが、海外に足を運ぶことで初めて自国および自分自身の特色に気づく経験ができる点も留学のメリットとして取り上げられた。また、海外留学を経験した人材が日本の経済発展に貢献しやすい仕組みを作ることで、日本の社会は海外留学の恩恵を享受しやすくなるという観点での議論が行われた。

【全体私感】
四方氏は、留学とは一つの長期的な投資の手段であるというメッセージを伝えてくださった。日本が国際社会で影響力を維持するためには国際的な競争に打ち勝てる人材を育成する必要があり、留学はその有効な手段になり得る。フォーラムを通して参加者に激励の言葉をくださった四方氏に、深く感謝申し上げる。

(東京工業大学大学生命理工学院修士2年 岡部 遼太郎)

戻る