2018.4.7 "Nissan Intelligent Mobility Vision"
日産自動車株式会社副社長 ダニエレ・スキラッチ氏
ダニエレ・スキラッチ氏:イタリアのポリテクニック大学を卒業した後、ルノーを始めとした自動車業界を牽引する会社、フィアット、トヨタ、レクサス、トヨタを歩き渡り、現在は日産自動車株式会社で副社長としてご活躍なさっている。
まず始めにスキラッチ氏は、「日産がグローバルリーダーとしていかに世界規模の諸問題に取り組むのか」を熟慮しているとご教授くださいました。具体的に日産は環境保護のために、自動車のガス排出量ゼロを目指しています。世界の散在する問題に積極的な姿勢を取る理由は、決して企業のためを思ってのことではありません。それが顧客の持続可能なライフスタイルに直結するからです。日産は常に顧客の幸福というものを最優先に考え、排出量ゼロの自動車を開発するために、他社と技術の連携を図り日々研究を重ねているそうです。
次に、スキラッチ氏は「自動車業界のこれから」についてもお話しくださいました。先日Uberの自動運転車が交通事故を起こしたことで大きな話題を呼びましたが、この事故が起因となり自動運転における責任の所在を巡る議論が世界中でなされていて、日産もこの問題に積極的に関わっているとおしゃっていました。
また、「日本の問題点」についてのお話も頂戴しました。第二次世界大戦後の日本は、産業の再興に時間がかからなかったことが世界的に賞賛された一方で、バブルがはじけた後、日本の成長率は圧倒的に低下しました。その原因としてスキラッチ氏は、「日本における多様性の欠如」を指摘されました。アジアの中でも中国やシンガポールなど目覚ましい成長を遂げている国々は、多様性を受け入れることで、自国の発展を試みています。スキラッチ氏は、日本もこの波に乗り遅れてはならないと示唆しました。
以上のようなご講演を踏まえ、私たちは「若者の自動車所有欲は将来失われるか否か」について話し合いました。結論としては、「減ってはいくが完全には失われない」という答えに辿り着きました。まず「自動車の所有欲」には主に二つの種類があると考えました。一つ目は「移動手段として自動車を使用したい」と思う所有欲。二つ目は「ステータスや娯楽として自動車を持ちたい」と願う所有欲です。前者の所有欲は、公共交通やカーシェアの発展により減っていくと予想しました。一方後者は、人間の本質には他者よりも優位に立ちたいという欲望があるため、自動車が使われなくなったとしても所有欲はなくならないと考えました。
スキラッチ氏はタイムリーな話題を話に織り交ぜながらお話くださり、今後の自動車産業と日本について改めて考えさせられるような貴重な機会となりました。最後になりますが、今回のご講演のためにお時間を割いてくださったダニエレ・スキラッチ氏に心より御礼申し上げます。ありがとうございました。
(松崎 美結)