2018.11.27「ロックフェラー5代目当主から学んだこと〜同族企業こそが日本(地方)を救う〜」 永田町ファミリーオフィス代表, NPO日本ファミリーオフィス協会代表理事 相山 豊様
相山豊氏:山梨県出身。慶應義塾大学卒業後、経団連に就職。経団連から派遣で、エール大学経済学大学院(修士号取得)とハーバード大学政治学大学院(修士号取得)に留学。2002年秋にハーバード大学研究員(金融専攻)を経験し、その後経団連を退職。2003年1月に自身の会社を設立し、現在に至る。
フォーラム前半のスピーカーによる講演では、まず始めに同族企業に対する日本と欧米のイメージの違いとその理由についてお話しいただきました。日本では、同族企業と聞くと「古い経営形態で業績も悪い」などと何かとマイナスイメージを持たれることが多いですが、欧米ではむしろ同族企業でないと顧客の信頼を得られない、というように同族企業に対して正反対の価値観があります。この理由について相山氏は、日本人は同族企業に対して何かしらの嫉妬心を抱いている一方、欧米人はもちろん嫉妬心もあるが自分達自身もある程度は裕福になれると思っている点に違いがあるのではないかと指摘されていました。
次に、相山氏は米国の研究結果をもとに同族企業の強さについて触れられました。同族企業にネガティヴなイメージのある日本であっても、日本を代表する優良企業には、トヨタやブリヂストン、サントリーなど同族経営から出発した企業が多く、全企業の97%、上場企業の3割以上が同族企業だと言われています。同族企業の強みについて相山氏は①長期的視野に基づく経営、②トップの強いリーダーシップによる迅速な意思決定、③経営上の責任が明確、④創業者の経営理念の継承が容易の4点を指摘されました。
最後に、相山氏は日本の地方と同族企業についてお話しいただきました。日本の地方にある中小企業のほぼ100%が同族企業であり、日本で同族企業が胸を張ってビジネスが出来ない状況が続くのであれば、後継者不足が深刻化している地方に追い討ちをかけることになり得るというお話をいただきました。
フォーラムの後半では、講演を踏まえた上で「仮に自分が自動車業界に就職するとしたら、同族企業のトヨタと非同族企業の日産のいずれを選ぶか?」というテーマで学生同士のディスカッションを行いました。学生達は、再度同族企業と非同族企業の長所と短所を検討した上で、自身のキャリアプランと重ね合わせた際にどちらの企業に行きたいかについて活発な議論を交わしました。
今回は、テーマが「同族企業」ということで、普段はあまり意識しない視点に関する講演であり、その分新たな発見と驚きを多く感じたフォーラムでした。今回学んだことを社会を見る際の1つの尺度として、そして就職先などを考える際の1つの基準として生かしていきたいと思いました。最後に、お忙しいなか私たち学生のためにお時間を割いてくださった相山氏に心よりお礼を申し上げます。本当にありがとうございました。
(慶應義塾大学大学商学部 渡邉 舜也)