2012.11.10開催「日中韓協力のあり方」
崔相龍(チェ・サンヨン)氏 元駐日韓国大使
現高麗大学名誉教授・成蹊大学教授・韓国政治学会会長
11月フォーラム開催。元駐日韓国大使の崔相龍様に、「日中韓協力のあり方」をタイトルとして、自らの専門の一つである政治哲学思想から、三国協力のリアリティとそのための課題、そして現在の動きに関してお話しいただきました。
韓国、日本、中国の三国は世界のうちで大きな影響力をもっている。そしてこの三国が協力し合うことは強いシナジーを生むと推測されるため、三国の協力は意義深い。しかしこれを実現する上での課題が少なくとも二つある。
①三国の中で韓国が最も小さく、このままでは満足に外交をすることも出来ず、さらには日本と中国の仲介をすることさえも難しい。このようなわけで北朝鮮と韓国の南北統一が望ましい。
これには日本の協力も必要である。かつて小泉元首相が成し遂げたように、拉致問題があったとしても、それが解決されるまでは他のアクションをとらないという態度ではなく、出来ることから実行に踏み出す態度が大切だ。
②ナショナリズム。今日ではその中でも最悪の形態である、歴史というコンテクストの中での領土問題が際立っている。これには各国の歴史学者間での協力が大切で、事実は共通認識として共有し、解釈には幅を持たせるという態度が肝要である。
こうした状況下で大切なのは「文化交流」で、この相互学習プロセスによる間接的な影響は想像以上に期待できる。今現在、文化的交流の一つとして、三国間でのオーケストラを結成に努めている。連合を組むという形ではなく、このように緩やかの協力関係を築いていきたい。
このような旨の講義のあと、「朝鮮半島の南北統一に、日本はいかに協力できるか」というテーマディスカッションをし、経済協力体制を高める、交換留学制度の強化する、などの様々な意見が出ました。私としましては、今日重用しされなくなってきているが、我々を内面の上で支えている芸術の意義というものを問い直していくべきだと考えました。(新居 壮真)