2024年 KIP師走会

【概要】

2024年12月21日(日)、KIPの師走会が開催された。師走会は2部構成で行われ、充実し た時間を過ごすことができた。第1部では、KIPアラムナイ座談会、グループトーク、討論 が行われ、それぞれが実のある内容であった。アラムナイ座談会やグループトークではパ ーソナルな話題を通じて多くの学びを得ることができ、全体討論では視野を広げる貴重な 機会となった。第2部では、立食パーティや本の交換会、グループごとの交流が行われ、 メンバー同士の親睦を深める良い場となった。

【KIPアラムナイ座談会】

座談会では、5名のKIPアラムナイの方々をお招きし、それぞれの経験についてお話を伺っ た。登壇者は起業家、転職経験者、国家公務員、総合商社勤務者と多様な経歴を持つ方々 であった。この座談会の目的は、社会に出てからのKIPの活用方法を理解すること、そし てKIPアラムナイがどのような人生を歩んでいるのかを共有することである。ファシリテ ーターを中心に、質疑応答形式で進行し、活発な議論が行われた。まず、「KIPでの成長 環境」というテーマについて、登壇者たちはKIPでの活動を通じて自身の成長を実感して いると語った。特に、友人からの影響を受けて自分の至らなさを認識し、謙虚さを学んだ ことや、物事を自分ごととして捉える主体性を身につけたことが大きな成果として挙げら れた。また、「KIP活動を社会でどう活用するか」というテーマでは、KIP委員会での経験 が社会で役立っている具体例も紹介された。KIPでは、日本語や英語を問わず円滑なコミ ュニケーションの方法、多角的な視野を養う力、礼儀正しさ、さらには失敗への対処法を 学ぶことができたという。これらの経験やスキルは、社会に出た後も実際に役立ち、登壇 者たちにとって大きな財産となっていると述べられた。座談会の後半では、社会に出てか らのギャップや労働環境についての議論も行われた。こうした話題は社会経験のない学生 会員にとって、社会や働き方への理解を深める良い機会となった。学生たちは、具体的な エピソードを通じて、将来の働き方に対する視野を広げることができたと感じられる。座 談会を通じて、KIPの活動は単なる知識吸収の場にとどまらず、一社会人として必要な教 養を身につける基盤を形成するものだと感じた。KIPの経験は、他のどの団体でも得難い 貴重な成長の機会を提供している。本座談会は、KIPで得られる価値の大きさを再認識す るきっかけとなる有意義な場だった。

【社会人/学生別グループトーク】

グループトークでは、社会人と学生のグループに分かれて実施された。2024年を振り返り 、KIPでの印象的な出来事から個人的なエピソードまで幅広い話題が話し合われ、会員同 士の交流を深める貴重な機会となった。私自身は学生のグループに参加した。KIPでの印 象的な出来事としては、プロジェクト参加メンバーがそれぞれのプロジェクトを通じて学 んだ経験について話し合い、大いに盛り上がった。また、個人的な出来事としては、ある メンバーが受けた授業の内容をきっかけに、電気自動車(EV)について話を楽しむ場面も あった。普段のフォーラムでは、個人的な話題を共有する機会が限られているため、この トークを通じてお互いのことを深く知ることができたのは、とてもよいひとときであった。

【グループ討論と全体討論】

「仕事に必要な専門知識は大学で学び始めるべきか、それとも就職後に学ぶべきか」をテ ーマに、グループ討論と全体討論が行われた。討論の冒頭では、メンバー間でお題に対す る認識が異なることが明らかになり、まず「仕事に必要な専門知識」の定義を確認する作 業が行われた。この定義については、「働く業種に直結する知識」と「社会で役立つ広義 の知識」という2つの見解が挙げられたが、最終的には「働く業種に直結する知識」とし て合意された。次に、専門性の意味とその身につけ方について議論が進められた。大学で の専門性は、研究を通じて得られる知識や能力を指し、社会での専門性は、実務を通じて 培われる実践的な知識を指すとの意見が共有された。また、専門性を学ぶことは「情報を 理解し、咀嚼する能力」を育てることであり、この能力は大学の学問的環境で特に養いや すいとの考えが示された。その後、「大学で学ぶべきか」「就職後に学ぶべきか」につい て具体的な意見交換が行われた。大学で学ぶべきとする側は、大学は専門性の基礎を磨く 場であり、基礎的な知識を体系的に学ぶことで、就職後の応用が容易になると主張。一方 、就職後に学ぶべきとする側は、学生時代は社会経験が限られるため、幅広い選択肢を持 つことが重要であると主張した。今回のテーマについては、「就職後に学ぶべきか」とい う意見が多数を占めていた。しかし、議論を進める中で定義の見直しが行われ、相手の反 論を受けて自分の立場を変更する人も現れるなど、活発で熱のこもった討論が繰り広げら れた。この討論では、高校生から社会人まで、多様な立場から意見が交わされ、専門知識 の学び方について多角的な理解が深められた。お題に対する多様な視点を得ることができ 、実に濃厚な時間となった。

【全体私感】

個人的に印象的だったのは、全体討論で取り上げられた「専門性の身につけ方」に関する 議論である。大学で学問を学ぶことによって、専門性の素養を身につけるという話は非常 に興味深かった。専門性の素養とは、情報を理解し、組み立て、考える能力であり、これ はまさにKIPが実践していることに他ならない。各フォーラムを通じて主体的にお題に関 連した情報を習得し、それを咀嚼したうえで討論に臨む。この繰り返しが、社会に出た際 に必要とされる専門知識の身につけ方を学ぶ貴重な経験になっていると感じる。今回の全 体討論やアラムナイ座談会を通じ、改めてKIPの活動意義を再認識することができた。ま た、第2部や社会人・学生別のグループトークでは、会員同士の親睦を深める絶好の機会 となった。最後に、この師走会に関わったすべての方々に心より感謝を申し上げたい。特 に、準備に尽力してくれたKIP委員会の皆さん、そしてKIP理事長のパッカード氏、KIP理 事の皆様には、深い感謝の意を表したい。

東洋大学国際学部3年 岸野来美

戻る