2015年韓国研修
11月13日~16日の4日間、韓国のソウルで韓国研修を行いました。ソウル大学での見学と討論会、日中韓3国の大学生が参加した”CJK Youth Dialogue”、企業訪問、そして観光を行いました。
<討論会>
ソウル大学では、「あなたは親と同居したいですか?」という問いを中心に、ソウル大学の学生との討論を行いました。今後さらなる高齢化に直面する日韓の社会情勢の中、日本は年金制度が整っており、国が高齢者扶養をすることが一般的である一方で、韓国では子供が恩返しとして引退した親を経済的に支えるという風潮があると勉強し、実際にどうなのかを探るため、高齢者の扶養は国が担うべきなのか、それとも親族(子供)が担うべきなのか個人の価値観について話し合いました。
様々な学部から、日本が好きで、日本語が堪能だという学生が参加してくれました。儒教社会で血縁関係を重んじるといわれる韓国ですが、親との同居を義務とは考えず、自分の気持ちや経済的な事情を考慮している学生が多く、韓国でも時代が変化しているのだと感じました。
<CJK Youth Dialogue>
CJK Youth Dialogueとは、日中韓三国協力事務局と日本国際交流センターの共催で行われた、日中韓3国の学生が集った討論会です。各国の参加者が「就職・教育・ジェンダー」という3つのテーマに分かれて議論し、各国の問題点とその解決策として3国で協力できることを考え、最終的に各グループで話し合ったことについてプレゼンテーションを行いました。ある国で既に行われていることでも、他国の学生からすれば新鮮な考えであるなど、お互いに勉強できることが多く、内容の濃い時間を過ごせました。
こちらのページにも、討論会の様子が掲載されています。
<企業訪問>
SUMSUNG、LG Displayという、韓国の2大企業を訪問しました。SUMSUNGではテレビや電話の発展の歴史、その中でSUMSUNGがどういった役割を果たしてきたのかなど、韓国の技術発展の流れを理解することができました。LG Displayでは、SUMSUNGと大きさを競っているという巨大なディスプレイと、その材料となるガラス板を見せていただきました。2つの企業で共通しているのは、時には利益を度外視してでも、技術競争に参加することで、韓国全体の技術の発展に貢献してきた事だと思いました。
<観光>
観光では、朝鮮戦争に関する展示が主となる戦争記念館、独島体験館、大日本帝国の併合下で韓国の独立運動家が収容されていた西大門刑務所に訪れました。朝鮮統一問題や日韓関係の問題に関して韓国の視点から考える時間となりました。また、かつての王宮である景福宮と伝統的な市場が広がる南大門にも訪れ、韓国のかつての王宮文化と歴史の中で発展してきた大衆文化に触れることができました。
<全体を通して>
韓国研修は、韓国という国を日本との関係以外の視点から考えるきっかけとなりました。一流大学を卒業しても就職難に直面するというソウル大学の学生の声からは、韓国内部にある雇用問題について知ることができました。また、LG Displayの工場は北朝鮮との国境から10km程しか離れておらず、安全面での心配を伺ったところ、距離が近い分ミサイルは自分たちを超えて飛んでいくから、かえって安全、と冗談まじりにおっしゃっていたことや、戦争記念館でのお話から朝鮮半島における統一問題が歴史上の出来事ではなく、韓国にとっては現在進行中の課題であることを痛感しました。
こうして、韓国について内部の視点から韓国の抱える社会問題について考えることができ、非常に貴重な機会となりました。