2024.3.23 3月フォーラム 「日本の統治構造」

講師:KIPアラムナイ 多田哲朗氏

多田哲朗氏より、日本の統治構造についてお話を伺い、「政党における党内派閥は解体されるべきか」というテーマで参加者による討論を行った。

【スピーチと質疑応答】

スピーカーより、「派閥」とは何か、その成り立ち(中選挙区制など)や役割(選挙支援・資金援助・人事)についてお話を頂いた。さらに、政官関係や、日本で政策が決まるプロセスについてもお話して頂いた。1990年代からの政治改革、小泉・安倍政権を経て政治家の政策に対する影響力が強まるなど、近年は大きな変化がみられることも指摘された。

【全体討論】

政党の党内派閥は解体されるべきかというテーマのもと討論を行った。政策や信念ではなく資金や人事が目的と化した現在の派閥は好ましくないとする意見や、大集団の中で人間が集まって派閥を形成するのは自然であり止められないから、派閥を残しつつ現在の問題点を解決すべきではないかという意見が出た。また、派閥を無くした場合、閣僚等に人材を登用する上で何を基準にすればよいのか、若手人材や女性が選挙に勝ち登用されるために派閥など組織的サポートは不可欠ではないのか、そもそも同じ政党内に違う意見の派閥が分立するのは不自然ではないか等の疑問も提起された。テーマの賛成・反対派とも、人事のポスト配分や資金を目的とする現在の「派閥」には批判的だが、政党内に何らかの「グループ」があることは容認しており、グループに参加する際の基準をどうすべきか等について更に議論があった。

【全体私感】

重要であっても自分で本を読む等して知ることはなかなか難しい内容であり、今回のフォーラムは大変勉強になった。討論では、私は最初は派閥解体に賛成だった。しかし、自分と違う意見や指摘を多く聞きながら自分の意見を検討・修正していくと、現在の「派閥」の在り方は問題だが、同じ志を持つ人がグループを作ることは自然であり、実務上も、指摘されている問題点を改善した上で、党内グループが政策論議や若手人材育成に積極的・建設的な役割を果たしていくのが現実的かつ有益だろうという意見に変わった。このように、普段あまり考えない問題を考える契機、かつ、他者の多様な見解の長所を取り入れて自分の思考や意見を改善・強化する機会として、フォーラムの討論は非常に有益だった。また、個人的に、政治の話はそれ自体大変面白かった。貴重なお話を頂いたスピーカーに改めて感謝したい。

東京大学法学部3年 後藤正樹

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