2024.11.9 11月フォーラム 「Behind the Scenes: The Future of Entertainment」

講師:Ms. Urmila Venugopalan

略歴 Venugopalan氏は現在、MPA(Motion Picture Association Inc.)の戦略およびグローバル・オペレーション担当エグゼクティブ・バイス・プレジデントとして活躍され、 外交政策と経済問題における多様な経歴を持つ。 2017年9月のMPA入社前は、オバマ政権でケリー国務長官の政策企画スタッフのシニアアドバイザーおよびメンバーとして、経済・ビジネス問題全般を指揮した。 この職務では、二国間および地域の貿易、投資、開発優先事項の強化に取り組んだ。 また、Albright Stonebridge Groupのシニアコンサルタントとして、主に南アジアや中東・北アフリカ地域の海外成長市場における政治・規制環境の影響を理解するために、米国企業や多国籍企業、国際的な財団を支援した経験も持つ。

【スピーチと質疑応答】

映画、テレビ、映像配信業界とMPAの役割について、示唆的で魅力的な講演をいただいた。有名な制作会社や配信サービスを会員に持つMPAであるが、規模の大小にかかわらず一企業が政府機関との交渉に臨むのは並大抵のことではないという。そこでMPAは一丸となり、この業界がいかに地域経済を牽引し、雇用を創出し、世界の文化発展に寄与しているかを示すために、政治家やその他の関係者と密に協力し、業界全体をサポートする役割を果たしていると伺った。

【全体討論】

議論のはじめ、私は越境著作権侵害に対して日本独自の罰則を設けるべきだと考えた。インターネットには国境がなく、AIによって個人が簡単にデジタルのコピー品を作れるようになったのだから、罰則は厳しくすべきである。加えて、クリエイターや国際機関が世界中の違反行為を監視し、厳罰を下すことは、コスト面でも人材面でも不可能だ。そのため、国際的な罰則の実現は難しいと考えていた。しかし議論の中で、各国政府や警察機関、司法を巻き込んだ国家間の交渉は難しいかもしれないが、国際的な民間の動画プラットフォーム内で同じルールや罰則を設けるのであれば可能であると気づき、それを受けて最終的に、著作権侵害の処罰は国際的に統一されるべきだという考えに賛成した。なお、国際法が形骸化することは避けるべきだと思うため、議論の中で出ていた、厳しい罰則を作り、国際的にコンテンツ力のある国から徐々に広めていくべきだという意見にも賛成する。 また、講演の中でも触れられていたように、現在はAIによる産業変革の真っただ中にあり、雇用の代替やディープフェイクなど、メリットとデメリットを踏まえどうバランスを取るかを考える必要性を感じた。私は、これに対して次のような解決策を提案したい。昨今、調査・研究データなど知的財産のオープンソース化が進んでいるように、映像作品は作者の手を離れたら学習に利用される可能性があるという前提で著作権制度を見直し、オープンソース化によってAIに模倣されても創作者に利益が還元される仕組みを作るべきであると考える。

東京大学農学部4年  毛防子璃奈

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