2021.1.15 1月フォーラム「 アジアにおける日系企業のビジネス展開とその働き方」

日系総合空調メーカー 和田 凪子氏

経歴
2016年東京大学公共政策大学院卒業、日系空調総合メーカーへ入社。アジア・オセアニア地域の関係会社の管理に従事したのち、2019年より社内海外研修制度にて同社タイ工場へ赴任。研修修了後、2021年より正式出向。現在は現地工場の経営管理、予算管理、及びアジア地域の関係会社のサポートに従事している。

内容紹介

【スピーチと討論】
まず、東南アジアの概要及びタイの概要についてのお話を伺った。東南アジアは現在世界の成長センターとして目覚ましい成長を遂げており、中でもタイの成長率は1980年~2020年にかけて約15倍に成長しているという。そのため、東南アジアから世界への工業製品の供給が注目されている。そして、こうした東南アジアの成長について考える上での、「比較優位論」や「中所得国の罠」などについての経済学の観点からの説明も伺った。
さらに空調機器と冷媒の両方を手掛けている総合空調メーカーのビジネスについて伺った。総合家電メーカーとは違い、空調事業が9割以上を占める企業であり、近年成長が見込まれる東南アジアを中心とした海外市場における戦略を学んだ。特に海外戦略においては日本での販売戦略を活かしている部分がある一方で、気候や文化の違いから一筋縄ではいかない面も知ることができた。
さらに質疑応答では東南アジアの地域でホテルやビルにおいて空調が効きすぎているのはなぜかという実体験に基づいた質問や、タイで働く中で日本での経験と比較して感じた違いに関する質問などが出された。前者においては東南アジアでは空調機器が全ての施設で導入されていないことも多く、室温が低く保たれていることは裕福であることを示すためであることを知り、空調があることが当たり前であり、四季の変化に対応して「快適な」室温を求める日本との違いを感じ興味深かった。タイの働き方においては和田氏の部署は大半が女性であり、働く中で男女を意識することもあまりないというお話を伺った。ビジネスにおける戦略だけでなく、海外で働くことで得られたご自身の考えの変化を知ることができた。

【グループ討論と全体討論】
今回の討論は、「新しく空気清浄機の需要を創出し、拡販するためにはどのようなアプローチをとるべきか」というテーマで、アイデアを出す形式の討論を行った。私の班では、空気清浄機になじみがある都市部とそうではない農村部に分けて考えた。都市部では、空気清浄機を人目につくような場所に置き、効果を視覚的に表す機能をつけることで空気清浄機の有用性をアピールできると考えた。一方で農村部では、まずは空気清浄機に馴染みを持ってもらうことが大事だと考えたため、サブスクリプション制や無料お試し期間を設けて使用してもらうのが効果的ではないかと考えた。

【全体私感】
今回はアイデア出しをするという形での討論形式だったため、新鮮で面白い意見もたくさん聞くことができたので良い機会だった。特に、空気清浄機に馴染みがない地域でどのようにゼロから普及させるかを考えるのが難しかったが、地域の特性を生かし、商品の性質も考慮しながら、戦略を考える面白さを体感することができた。

(慶應義塾大学 経済学部2年 西川 未玲)

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