2019.7.6 KIP 7月特別英語ディベート演習
スピーチディベート研究所代表 井上 敏之様

7月特別英語ディベート演習開催。今回は、スピーチディベート研究所代表の井上敏之様に、英語ディベート演習プログラムを設けて頂きました。このプログラムは毎年1回行われており、学生は論理を立てて話すCRECの型を学び、最初は型を意識しながら1対1の対話とディベートの練習を行いました。4時間の練習後には、学生は自身の会話の特徴を知ることや物事の二面性を考慮することの大切さを実感し、また自信を持った話し方が出来るようになったことに気づき、“Learn By Doing”の重要性を実感することができました。

井上 敏之氏

スピーチディベート研究所代表。英語ディベートトレーナーである井上所長は、米国のたばこ会社で20年勤務され、その後20年企業研修などで英語スピーチやディベートのコーチをされる。日本トーストマスターズなどでも何度も優勝され、そのユーモア交じりのスピーチには定評のあるスピーチ・ディベートスペシャリストである。

内容紹介

スピーカーは初めに、自身の経験によりディベートへのイメージが「真面目なもの」から「興味深いもの」に変化したという経験談を話された。そして、「ディベートとは、知恵やユーモアを駆使して議論を楽しむものである」という考えに至るためには、ディベートを実際にやることから学ぶ必要があるという考えをお示しになった。今回は、特にディベートの実践の場で必要な知識である「ディベートを含め人と意見交換をする際に意識するべきこと」と「話の組み立て方」の2つを教えて頂いた。

まず初めに、「ディベートを含め人と意見交換をする際に意識するべきこと」として、「時間管理」「フィードバック」「質問と回答」「アイコンタクト」の4点を挙げて頂いた。フィードバックは、良い点と改善点を指摘することであり、また、質問をすることは相手に対する興味を示す態度として適切であると述べられた。さらに、上記の4点に加えて、ディベートの折には要点を知るためにメモを取ることは大切であるが、会話においてはそのためにアイコンタクトが減少することは注意するべきことであるというお話も頂いた。

続いて「話の組み立て方」として、約1分話す場合は「CREC型」が、約10分話す場合は「OBC型」がふさわしいと述べられた。「CREC型」とは、「Conclusion(結論→Reason(理由)→Evidence(証拠)、Example(例)→Conclusion(結論)」の順で組み立てる方法であり、一方、「OBC型」とは、「Opening(序論)→Body(本論:要点、証拠、例)→Conclusion(結論)」の順で組み立てる方法と教授を受けた。

 
ディスカッションについて

次に実践練習として、1対1の対話とディベートの練習を行った。

はじめに行った1対1の対話では、テーマに基づき1~2分間で自分の意見を述べ、聞き手が話し手の内容を要約し、互いに質疑応答とフィードバックを行った。話の構成は「CREC型」になることを意識し、また、アイコンタクトや手ぶりを駆使して良好な態度を取るよう意識をして練習に臨んだ。学生からは、時間を意識して話すことの難しさや、日本語を話す自分の癖が英語を話す際により明確に露見されることに気づきを得た、という声があがり興味深かった。

続くディベートの練習では、1対1の練習から3対3の練習に広げる形を取った。井上氏は、1対1の練習では意見の要点を1つに絞ることや、両者で公正に判決を課すことで相手の話を聞くようになることの重要性が高いことを述べられ、学生は実践の中で体感した。その後の3対3のディベートは、「日本の会社は英語を共通言語にすべきである」「企業は定年退職の年齢を設定すべきである」「日本の小学校はディベートを教えるべきである」という3つのテーマに基づいて行った。学生は、これまで習った理想の話の構成と態度を意識してディベートに参加した。判決側は、一貫した価値観を持つことと、話者が変わる毎に新しいアイデアを述べることが出来ているか否かを判断の軸にすることが多いように見受けられた。

井上氏は以上の実践練習を経て、全ての物事には表裏があり、その両者を認識したうえで真実に近づくための過程がディベートであるということを述べられた。また、物事を両側から見てどちらの意見も言えるようにする重要性を教えて頂いた。お話を聞いて、私は物事の二面性を考えることはディベートを通じて非常に鍛えられると感じ、またその思考力は自分自身の判断軸を持って情報の取捨選択をする上で必要であると感じた。 (横浜市立大学国際総合科学部2年 川口 あずさ)

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