2015.10.17 KIP Forum "JINRO経営と日韓関係"
楊仁集氏 眞露社長、駐日韓国企業連合会会長
10月フォーラム開催。今回は日本でも有名な韓国の酒造会社JINROの社長であり、日韓交流のため活動されている楊仁集(YANG IN JIP)様に“JINRO経営と日韓関係”をご講演いただきました。一企業の代表者として、JINROがどのように日本でシェアを伸ばしていったのか、また一民間人として、日韓関係が良い方向に向かうにはどうすればいいかなどのお話をいただきました。
若者の酒離れが進む中、JINROは楊氏が社長に就任されて以来、経営改革により日本国内での売り上げを伸ばし、現在日本の酒類業界でトップ10に入る唯一の外国企業にまで成長しました。楊氏が一番自信を持っておっしゃっていたことは、JINROが日本の現地化に他のどの外国企業よりも成功したということであり、自国流を押し付けるのではなくその国の流儀に合わせるというこの姿勢は日韓関係の改善にもつながることでした。楊氏の経営改革のひとつに“常に強調すること”として定めたいくつかの標語がありました。“「前例がない」とはおさらば”などのこの標語は、楊氏の声や醸し出す雰囲気もあいまって、大変な深みをもって私のなかに入ってきました。
日韓関係改善のために活動されている楊氏ですが実は韓国独立運動家の孫で、親戚には反日感情の強い方が多いそうです。しかし楊氏は、そんな出生だからこそ歩み寄っていくための活動をしているのだと熱く語ってくださいました。若者は未来を造っていく存在であるから、視野も心も広く外向きであれという楊氏の言葉は、確かに領土問題などを日本本位で考えがちであった私に強くささりました。
グループディスカッションでは、各グループがそれぞれ今回の講演に関係するテーマを決めて話し合いました。世論を日韓関係改善の方向にもっていくためには相手側の主張を皆がしっかり知ること、そのために教育をしっかりしようという班や、日韓関係改善のために合同の歴史の教科書や授業を設けようとする班などがありました。日韓関係については色々な人が色々なことを考えているので、斬新で効果的なアイデアを出すのに皆切磋琢磨していました。こうして各々が日韓関係改善のための一歩を考えることで、その難しさや現状に対する理解が深まる、大変貴重なフォーラムでした。お忙しいお時間を割いていらして下さった楊氏にはもう一度感謝の辞をお送りいたします。ありがとうございました。(古屋沢彌)