2014.6.14 KIP Forum 「国際社会と日本一若手外交官の見る日本外交の課題」
野村俊介氏 外務事務官 外務省アジア大洋州局南部 アジア部南東アジア第一課

昨今日本の国際社会におけるプレゼンスは下がりつつあると言われがちだが、諸外国からは日本は政治・経済力、地理的位置、文化的な力(ソフトパワー)という3点において期待されているということがまず私にとって驚きでした。昨今のマスメディアを見ていると日本に対して悲観視するニュースばかりが流れてくるからです。そのような中で外務省はどのような役割を果たしているのでしょうか。例えば日本はこれまでイラク、アフガンに自衛隊を派遣してきました。わざわざ日本から遠く離れた地域に日本から自衛隊を派遣するのは中東からの原油の輸入確保とタンカーの通り道の安全確保のためである。同様にソマリアの海賊対策を行ったのはヨーロッパと日本を繋ぐ輸出入の航海ルートの安全確保のためであった。

このように外交においてはたとえ日本と離れていて無関係と思われる地域でも日本とどのような関係を持ち、それが日本にどのような影響を持つのかということを考えることが大切なのです。そしてそれは外交において欠かせない第一のステップであることを学びました。

もう一つ、野村氏のロンドン大使館での勤務の経験から感じた日英の比較はとても興味深いものでした。地理的、経済的、政治的に類似性を見いだせる点がある反面、ソフトパワーや対外発信力については日本がイギリスから得ることができることはまだまだたくさんあるという言葉に私自身が励まされる気がしました。 国内から見る日本と外から見る日本は大きく違います。今回野村氏から伺ったお話、そしてそれに引き続く議論から私を含め日本人はもっと自国に対して自信をもって良いのではないかと感じました。自信(プライド)は決して驕りではなく自覚だと私は考えています。野村氏が「日本が今後国際社会でどのような役割を果たしていくか」ということを今後の問題意識として掲げていらしたように、自国をより積極的に認め自覚を持つことで、日本の良さを活かしたよりよい将来の日本と国際的地位を築くことができるのではないかと思います。(相浦由莉絵)

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