2012年 第3回KIPシンポジウム 報告
1.日時
平成24年3月17日(14時~17時45分)
2.場所
日本外国特派員協会
3.出席者
一般学生・KIP会員80名、社会人20名
4.概要
第1部:はじめに
開会の辞:パッカード啓子(KIP理事長)
KIP紹介: 鈴木涼平(KIP委員会)
第2部:プロジェクト研究発表 「日米復興市民対話」
VOICE From TOHOKU
From 石巻
From 福島
『大学生から見た国際化教育のあり方の研究』発表(英語)
Information班:「日本人/外国人に対する情報発信とSNSのデマ」
Administration班:「地域コミュニティとボランティアの可能性」
Energy&Infrastructure班:「津波と原子力との向き合い方」
第3部:学生討論会 『東日本大震災から学ぶもの』
グループディスカッション
1.原発について納得する情報発信のあり方とは。
2.ボランティア促進に進学や就職のインセンティブを用いていいのか。
3.日本の原子力の未来は誰が決めればいいのか。
フロアーディスカッション
モデレーター:四方敬之氏(内閣副広報官)
閉会の辞:和田豪介(KIP委員長)
5.詳細
5-1.シンポジウムの意義
3月17日、(社)KIP知日派国際人育成プログラム(以下KIP)にとって3回目となるシンポジウムを挙行しました。今回のシンポジウムの意義は以下の2点です。一つ目は半年間のKIPプロジェクト「日米復興市民対話」(以下KIPPJ2012)の発表です。半年間の東京・東北での活動と続く3週間の渡米の成果の発表、そしてそれを基に学生が震災と関連する3つのテーマ(情報発信・ボランティア・原子力)を討論することで、KIPPJ2012を深化することを図りました。 次に、もう少し長期的な視点から捉え直すと、KIPが昨年のプロジェクト「教育の国際化」の提言の一つであった「長期留学を促進するための短期プログラム」の作成を実際に行い、28名の学生が多くを学んできたことの報告の場です。そのため、第2部の発表は英語にて行いました。
5-2.当日の様子
第1部は理事長のパッカードによる挨拶に始まり、KIP委員会からのKIP紹介を行い、上述したようなPJ2012が生まれた経緯についての説明を行いました。 続いて、第2部では東北の大学に所属するKIPプロジェクトメンバー2名により、東北についてのプレゼンテーションが行われました。KIPPJ2012には、東北の学生10名が東京の学生18名と参加し、東京の学生と研究・討論を行うと共に、プロジェクトメンバーは福島・宮城を実際に訪れ、現地の「生の声」を血肉とした上で、活動を行いました。そのため、会場のシンポジウム参加者にも討論をする前に「生の声」を伝えることとなりました。 その上で、PJ2012の3つの班から「日本人/外国人に対する情報発信とSNSのデマ」・「地域コミュニティとボランティアの可能性」・「津波と原子力との向き合い方」に関する発表を行いました。一般参加学生・社会人からも多くの質問が飛び、活発な質疑応答とすることができました。 休憩を挟み、テーブルごとに、1.原発について納得する情報発信のあり方とは、2.ボランティア促進に進学や就職のインセンティブを用いていいのか、3.日本の原子力の未来は誰が決めればいいのか、についてのグループディスカッションが学生・社会人が交わって行われました。どのテーマも震災という経験によって比較的身近なためか関心が高いようであり、また、社会人と学生の立場の違いから来る議論もあった。そして最後にモデレーターの四方氏の下、各グループで出た意見に基づき、フロアー全体を使って討論が行われ、学生は思い思いに自らの意見をぶつけ合うことができました。
5-3.まとめ
今回のシンポジウムでは、震災という巨大な「危機」に際して、各自がどのように向き合うかということを考えなおす貴重な機会になったのではないかと感じています。そして、半年間のPJ2012はシンポジウムで終了するのではなく、KIP全体で、引き続き得たものを「生の声」として伝えていく責任を感じています。そして昨年のシンポジウム後に、東京大学の秋入学移行が発表されたように、KIPやKIPシンポジウムが日本社会に何らかの問題意識を投げかけ、社会に微力ながら還元が出来る場として在り続ける努力をしていきたいとKIPメンバー一同考えています。