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2016.05.17 KIP Forum “アメリカ大統領選挙と日米関係”
四方敬之氏 外務省大臣官房人事課長

四方敬之氏:略歴
1986年に外務省に入省後、2004年日米地位協定室長、2006年国際報道官、2007年北米第二課長、2009年国際法局経済条約課長、2010年内閣副広報官などを歴任され、2014年7月現職に就任。

本フォーラムでは、1)大統領候補の状況、2)TPP、3)日米安保とそれに関してトランプ氏とクリントン氏がそれぞれ大統領になった場合の日米関係の三点に焦点を当てて話し合いました。1)大統領候補の状況に関してのディスカッションでは、共和党候補のトランプ氏が国民の当初の予想に反して現在多大に影響力を持っている背景として、アメリカ社会においてどれだけ人々が憤りを感じているのかということを理解しなければならないという意見が聞かれました。そしてクリントン氏についてはあらゆる局面において立場を変える姿勢や彼女が関わっている組織の活動と彼女の政治家としての人格が矛盾していることなど、信用の面で問題があるという意見が聞かれました。2)TPPに関する議論では、アメリカ人学生にとって自由貿易の拡大というのは、逆らうことのできないグローバル化の流れであり、世界が自由貿易を進めていくのはもうそういうものだとして受け入れられているようでした。日本ではまだ賛否両論ある問題ですが、アメリカでは過去にあった議論という認識が強く、自由貿易の欠点を認識している人が少ないのだろうという印象を受けました。3)日米安保についてのトランプ氏の立場は、日本からアメリカ軍を撤退させ、日本自身が自国を守ればよいという主張をしています。これに対してアメリカ人学生の意見として、アメリカ軍は撤退させるべきではなく、撤退させてしまえば日本を始めとしたアジアにおける影響力を失うことになり、アメリカにとっても不利益を被ることになる、というものがありました。また、中国に対しても強硬な姿勢を見せたり、隣国のメキシコとの間に壁を作り、その費用はメキシコに負担させると主張したりするトランプ氏が大統領になった場合、対日の問題だけでなく、対外関係全般において、良い影響を与えないという見解が強いように感じました。その後、政治経験のないトランプ氏は大統領になるだけの素質や資格があるのかという点について、彼の過激な発言には裏の意図はあるのか、何も考えずにただ好き勝手に発言しているのかという疑問があがりました。これは賛否両論あり、彼の人間性を疑う学生もいれば、自らに注目を集めるための戦略なのだと考える学生もいました。

これらの議論を通して、トランプ氏のような過激な候補者が支持を獲得する背景にはTPPやNAFTAなどの自由貿易を進めることが一因となって経済的格差が広がり、以前に増して社会に憤りを感じる市民が増えたこと、日本でもそれらを真剣に考える必要があることに気付かされました。
(横井裕子)

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