理事長よりご挨拶(10周年記念イベントにて)

只今ご紹介いただきました、パッカードです。KIPをスタートさせてから(前身を入れて)あっという間に10年がたちました。10年黙々とやってきたことの節目として、また皆さんとその10年をお祝いするために開いたこの集まりに、90人を越すアラムナイ、留学生、そして日本人学生メンバーたちが集まった事自体に、私はとても感謝し、感激しています。 素晴らしいメンバーたちです、心からありがとうとお礼を申し上げます。

(個人・団体に対する謝辞のため中略)

2009年、KIPで初めてのシンポジウムがこのFCCJで開かれました。本日お見えの篠原様他3名のパネラーと、当時の理事のお一人で今は亡き緒方四十郎様をファシリテーターに、60年安保について熱く語っていただいたのがつい最近のようです。 来年の10周年目のシンポジウムにはぜひ同じ顔ぶれでと楽しみにしていたのですが、ご承知のように、緒方様についで若宮様の突然の死には驚きを隠せず、残念でなりません。 前回11月の韓国研修についで次は北京研修だね、と言って下さった若宮様の言葉がまだ聞こえてまいります。ご冥福をお祈りいたします。

2008年2月、中国の李監督作の「YASUKUNI」試写会がこのKIPの最初の討論会でした。当時国会でも騒がれたほど物議をかもしだしたドキュメンタリー映画で、これからスピーチをなさる玉川さんも参加していらっしゃいました。中国人監督が作った「YASUKUNI」に対し15名の参加者は好奇心でいっぱいの1年生でした。質問攻めで、監督もこうして将来を担う若者たちがこんなに興味を示してくれるだけで幸せだ、と喜んでいたのがまだ記憶の中に鮮明に残っています。

次の3月が朝日新聞論説主幹若宮様の「右手に君が代 左手に憲法」 の講義とディスカッション。その討論会にでられた方も何人か今日この場にいらっしゃっていますが、もう30歳になられたでしょうか。
その後アメリカ科学研修生とのディスカッション、10月には当時のNHK報道局業務主幹による「経済報道の裏側」、 11月には現在監事をしていただいている田村先生を素晴らしい事務所に訪ね、「国際法律、日本と欧米諸国の企業の法律理解のギャップ」をお話いただきました。2008年はフォーラム中心で年間8つの活動をしたKIPの初年度でした。

10年たった今、KIPは毎月1回のフォーラム、年に3回の地方研修、1−2回の海外研修、イベント、そして時にはシリーズ仕立てのセミナーが入る、活動の数も増え中身の濃くなってきました。メンバーの方も初回は15名だったのが3回目の日米討論会では50名になり、当時びっくりしたものです。 その会員数は去年から留学生会員も増え、現在では学生・留学生・アラムナイ会員と合わせて約150名になり、結婚した人、子供が出来る人、海外で働いている人、転職した人、様々な多様性を持った人達とともに動いています。

さてこうした変化に対して、これからのKIPがどういった方向に向かっていきたいのか少し皆さんとシェアしたいと思います。私の中では活動として大きく2つのことを考えています。一つは活動テーマとして【内なる国際化】を、そしてもう一つは【【考え・判断をし・そして行動に】と、考えたことを一人一人が行動に変えていこう、ということを目標テーマとしていきたいと思っています。

では【内なる国際化】とは何か?
今まで国際化教育のあり方やグローバル人材などを中心にこの10年間やってきましたが、これからの数年間は【国内における国際化】ということを中心テーマとして歩んでいきます。日本人学生と在日留学生が一緒に、国内外の問題を考え、その知的交流によって人材の国際化と共通課題の解決を共にはかることを目指していきたいと思っています。その現れがこの夏の三重大学生国際会議であり、来年5月に行われる山口大学生国際会議です。KIP JUNICONとブランドを持って毎年こうした動きを続けていくつもりです。これらはいつも地域研修と同時に進めていきます。

もう一つは、もっと議論を重ね、しかし考えるだけでなく行動に移すという、【考えー判断—行動】この3つをワンセットで行える若者になっていこうということを目標にしていきたいと思います。【正解は一つではない】 だから考える、判断するだけの材料をもてるように勉強する、その勉強は本だけでなく、いろいろな立場の人と話し、自分の意見が変わることにも肯定的になれる人になっていこうと思います。 そう言ったために議論、討論の場は大事だと再確認して定期的にやっていければと考えます。

現代ではKIPは時代遅れと言われるかもしれません。じっくり時間を掛けて話し、「急がば廻れ」を実行し、立ち止まることを恐れずとことん考えてみよう、自分はどう生きていきたいかも含めて、これからもまた10年、みんなで作り上げていくKIPでありたいと思っています。ありがとうございました。

(パッカード啓子)

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