2015.5.18 KIP Forum "The Internet: Friend or Foe?"
Mr. Ian de Stains, OBE FCIArb, the Executive Director of TELL

5月フォーラム開催。TELL (Tokyo English Life Line)の執行役員であられるIan de Stains 様にご講演いただきました。私たちの生活に欠かせなくかったインターネットは便利であると同時に人を傷つけるものにもなり得ます。そんな現代の特に若者を取りまくネット環境についてお話を伺いました。

現在インターネットは情報の取得やゲームなどの娯楽を初め、ソーシャルネットワークを通じて離れた友人、家族、恋人との連絡手段など様々に使われています。こうした便利な面がある一方で、人間を互いに遠ざけ、傷つける武器にもなり得ます。フォーラムでは初めに、「ひきこもり」というのが日本人男性特有に見られるものだというお話から、専門家の間でも意見の分かれているこの理由についてグラウンドディスカッションの形で話しあいました。そして、規制の難しいネット上でのいじめという世界共通の問題についてグループで話しあいました。

アメリカ人学生も交えた討論ではとても興味深い意見があがりました。そもそもインターネットそのものに本質的に悪いことがあるわけではない。匿名性だって必ずしも人を傷つけるものになり得るわけではないから、使う人次第なのではないかという意見がありました。また、学校に適応できなくなった人がインターネットの世界へ走り、ひきこもってしまう若者を問題視する前提での話し合いの中、アメリカでは高校中退後、薬物に手を染めたり、ギャングに入ったりする若者もいることを考えれば、むしろ良いのではないかといった意見や、社会不適合者とレッテルを貼っているけれど、インターネットのゲームの世界で仲間を見つけ、独自のコミュニティーを形成しているのだから非社交的といって問題視するべきではないのではないかという意見があがりました。さらに、このひきこもりが日本人男性特有に見られるものといったところから、日本の男性に対する文化的、社会的価値観や、家族、友達との関係性についてもアメリカと比較した話で盛り上がりました。

ネット上のいじめ問題では、人を傷つけるものにしても発言自体を規制するのは言論の自由に反してしまうため、できないという意見が多く、そのため学校でそういった教育をしっかり行うことを制度化するといった法的処置が考えられるといった意見があがりました。

私は今回の討論を通して、インターネットは人々の生活に多様性を生み出したと思います。You Tubeなど新たな自己表現の場となるような媒体が生まれたり、今までにない人とのつながりを形成できたりする世の中となりました。素早く移り変わるトレンドに一般的な価値観や、法・制度も変化していくことが必要なのではないかと強く感じました。やはり私たちの生活をより豊かに、便利にしてくれるはずのインターネットを、人を傷つける武器に人間がしてはいけないのではないしょうか。(横井裕子)

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